日本の姫君たちの香りある暮らしを、香炉・香道具、振袖・化粧道具を通し紹介いたします。
日本の香り文化は、飛鳥時代に仏教伝来と共に始まります。仏に供えるものであった「香」を暮らしの中に取り込むようになったのは平安貴族たちでした。香りを室内にくゆらせる、衣服や髪にたきしめるほか、香りの良さを競い合う遊び「薫物合わせ」も行われ、これはやがて日本独自の香りの文化「香道」へと発展していきました。
江戸時代の姫君は嗜みとして香に親しんでおり、華やかな蒔絵や銀細工を施した香道具は公家や武家らの婚礼調度の代表的なもののひとつでした。
本展では、日本の姫君たちの香りある暮らしを当館所蔵の香炉・香道具、振袖・化粧道具、香原料などを通し展示紹介いたします。日本の香りの様式と伝統工芸の素晴らしさをご堪能ください。姫君たちが愛した日本文化の繊細な「かをり」に心を澄ませ、作品をお楽しみいただけると幸いです。