日本美術は東アジア世界の中で、長い交流の中から様々な刺激を受けて生み出されてきました。大和文華館の名称がもともと中国・南京の博物院の名称を参考に名付けられているように、蒐集品の中で中国美術は開館当初から絵画・工芸ともに充実していました。朝鮮美術は青磁九龍浄瓶を始め陶磁器を主とし、その後、絵画作品も厚みを増していきました。これらの日本を取り巻く多彩な作品の数々は、東洋の美的価値観を示すとともに、日本を含め個々の地域の造形感覚や美的特質を浮き立たせ、見る側に感じさせてくれます。
大和文華館開館50周年を迎え、新たな漆工芸品「螺鈿菊唐草文小箱」(朝鮮・高麗時代末~朝鮮初)がコレクションに加わりました。小品ながらも彩り豊かなこの作品をはじめ、本展観では大和文華館所蔵の国宝1件、重要文化財4件、重要美術品3件を含む中国・朝鮮の絵画や工芸の名品を展示します。寒さが和らいでくるこの季節に、文華苑の梅花とともにお楽しみ下さい。