明治4年、岩倉具視を特命全権大使とする岩倉使節団は、アメリカとヨーロッパに向けて視察の旅に出発しました。その時のメンバーの一人であった久米邦武は報告書を執筆・編集 します。それは帰国後の明治11年、『米欧回覧実記』として刊行されました。
『米欧回覧実記』には、当時の進んだ西洋諸国の政治・経済・産業・教育・文化・風習など、あらゆる分野における鋭い洞察が記されていると共に、それらを補う形で300点以上の挿絵銅版画が収録されています。これらは、明治初期銅版画史上、大変優れた出来栄えであると同時に、岩倉使節団が訪れた当時の欧米各地の様子を現在に再現する貴重な史料でもあります。
本展では、岩倉使節団の訪れた当時のアメリカとヨーロッパの各地を、これらの銅版画によってたどってみようとするものです。また、『米欧回覧実記』の原稿類、視察から持ち帰ったガイドブックや 音楽会プログラム、晩餐会メニューなどの資料類もあわせて展示いたします。