池田遙邨(いけだ ようそん 1895-1988)は岡山県に生まれました。父の転勤に伴い各地を転々としながらはじめは洋画を学び、19歳で文展に入選するという早熟ぶりでした。
姫路に在住していた23歳頃に日本画を独習し、その後小野竹喬を頼って京都の竹内栖鳳のもとで学びます。ムンクなど西洋絵画の影響を強く受けた時代を経て、1928年に大和絵を新たに解釈し直した「雪の大阪」により文展で特選を受賞し、画壇における地位を確保しました。
同じ頃、歌川広重にならって東海道の写生旅行をはじめ、その成果は1931年の昭和東海道五十三次に結実します。その後は冨田渓仙から強い感化を受けた作品を戦中にかけて発表しました。
戦後は遙邨独自の構図、視点から描いた風景画に新境地を開きます。
晩年になっても衰えることを知らない創作欲は1985年頃から山頭火の俳句を題材とした作品群を生み出し、遥邨を代表する連作となりました。
本展では初期から晩年に至るまでの池田遙邨の画業を代表作をはじめとする諸作品、資料により回顧致します。
心に染み入る独創性豊かな遥邨の芸術を多くの方々にご堪能いただきたいと思います。