パリを東西に流れるセーヌ川は、川べりに広がる都市の美しい景色に限らず、その上流から下流にかけても多くの画家たちに絵画の主題を与えてきました。
モネ、シスレー、ピサロら印象派の画家たちにとって、美しいセーヌの情景は水と光の反映や都市の近代化といったさまざまな画題やイメージの源泉となっています。特に、河口の町ル・アーヴルで育ち、ジヴェルニーで最期を迎えたモネは、生涯を通じてセーヌを生活の場としていました。
本展ではセーヌ川流域を5つの地域に分け、それらを描いた印象派の作品を中心に、日本人画家たちの滞仏作も含めた19世紀半ばから20世紀にかけての作品群をご紹介いたします。近代絵画の歴史を地理的にたどるとともに、セーヌ川が画家たちによていかに表現されてきたかについても展観するものです。