19世紀イギリスの社会運動家で芸術家であったウィリアム・モリスは、その思想の実践と数々のデザインによって、モダン・デザインの父と呼ばれています。彼は、産業革命による機械文明に異を唱え、量産・機械化された粗悪品ではなく、優れた材料と丁寧な手仕事による愛着のある美しいデザインによって生活の芸術化を図りました。彼の活動はアーツ・アンド・クラフツ運動の先駆けとなり、身近な動植物をモチーフに流れるような線で構成した彼のデザインは、後のアール・ヌーヴォーにつながっていきます。
本展は、バーン=ジョーンズやロセッティとの共同作業によるステンドグラス約20点の再現をはじめ、モリスがデザインした壁紙、テキスタイルやタイル、書物等、全約90点で構成されます。建築空間から卓上ランプまで、生活の隅々まで行き渡った彼のデザインを、100年以上を経て今も新鮮な作品でお楽しみください。