アーティスト・ブックは、版画芸術の興盛と受け手である大衆の出現に伴ない19世紀末頃より盛んに制作されるようになりました。特にセザンヌらの画家を世に紹介したフランスの画商アンブロワーズ・ヴォラールがこの分野に情熱を注いだ20世紀初め頃より、独立した芸術表現として定着したと言えます。以降スキラやテリヤードらの出版者たちは競ってピカソやマティス、シャガールといった巨匠によるオリジナル版画を収めた豪華本の制作に取り組み、数々の傑作が生み出されてきました。更に近年では、印刷技術等の発達に伴い、従来の「本」というコンセプトを覆すような作品も登場しています。 本展では、エルンストやデュシャンといったシュルレアリスムの作家を中心に、美術史上重要なアーティスト・ブックおよそ40冊を展示いたします。どうぞご高覧くださいませ。