この表面的な意味を削ぎ落とし、対象物の本質をあくまでも即物的に切り取る山本糾の写真作品を展示します。本展では、これまでも海、滝、ダム、水蒸気など水にまつわる対象を被写体として選んできた山本が近年続けている滝を撮影したシリーズ作品≪落下する水≫の新作を展示します。それらは硬質な構図をもつ風景写真のようにある特定の場所を写しているかのような表情と、水墨画のような概念的かつ普遍的な表情を併せ持っています。それは流動的かつ普遍的な水の特質にもよるのかもしれません。風景を撮影しながらそれを普遍的存在にまで昇華させようとする山本の作品は、わたしたちの周囲の風景についての新たな視点を提供することとなるでしょう。