ポーラ美術館のコレクションは、ポーラ・オルビスグループのオーナーでありました鈴木常司(1930~2000)が40年以上にわたり収集した個人コレクションです。そのコレクションは印象派を中心とした西洋絵画、日本の洋画、日本画、東洋陶磁、古今東西の化粧道具など9,500点を超えます。これまで企画展では、西洋絵画、特に印象派の絵画を中心に構成してまいりましたが、企画展『ポーラ美術館の日本画』では、初公開作品を含めて、ポーラ美術館の日本画コレクションを総覧し、コレクターの眼を改めて見直します。そのなかでも昭和を代表する画家であり、高山辰雄、東山魁夷とあわせて「日展の三山」として知られる杉山寧(1909~1993)の収録作品43点は、日本でも最大級のコレクションです。
本展では、日本画の近代化に尽くした横山大観(1868~1958)、叙情的な作風で人気の高い東山魁夷(1908-1999)、人間の精神性を追究した高山辰雄(1912~2007)、平山郁夫(1930~2009)などの作品から、コレクターの目を通して、写実と抽象、洋画のように見える厚塗りのマティエールなど戦後の日本画における重要な問題について考えます。それは、現代日本画家の造形上の実験と今後につながる可能性を、今あらためて捉えなおすことにつながるでしょう。
本展は、作品保護のため、2010年3月31日(土)から6月8日(火)までを1期、2010年6月11日(金)から9月5日までを2期として、1点を除き、全作品を入れ替えます。現代日本画への序章となる第1部「横山大観とその周辺」、コレクターが最も力を入れて収集した杉山寧を特集する第2部「杉山寧『純粋絵画』への道」、第3部「東山魁夷と日本画の叙情」、第4部「平山郁夫 源流を求める旅」の4つのセクションから構成されます。