2010年は、江戸時代の鳥取を代表する画家・片山楊谷の生誕250年にあたります。また、楊谷と同じく写生派の画家として知られる島田元旦も没後170年を迎え、ともにその価値を再認識・再評価する時期にあります。
長崎生まれの楊谷は、中国趣味の強い異国風の画風を武器に全国を歩き、鳥取をはじめ京都などで画家として活躍しました。また江戸に生まれた元旦は、画の大家である兄・文晁のもとに流入する中国絵画や西洋画など、最先端の絵に触れ、それに触発されながらも独特な個性を発揮しました。
このように江戸時代後期にあってそれぞれ新奇な作風を表した二人の画家を取り上げ、鳥取の誇るべき画人として、全国に強烈な個性を放った両者の画業を広く紹介します。特に今まで知られることのなかった楊谷の全体像や、文晁の弟としてだけではない一画家としての元旦の姿を示すことができればと思います。また、元旦の功績として紹介されることの多い、蝦夷地調査における元旦の作画や周辺資料を紹介し、その意義を再確認します。