竹久夢二は明治17(1884)年に、
岡山県邑久郡本庄村(おくぐんほんじょうそん)
現在の、瀬戸内市邑久町に生まれました。
16歳までを過ごした故郷・岡山での幸せな思い出は、
旅好きでのちに漂泊の画家と呼ばれた夢二の心の支えとなりました。
その想いは詩集に詠まれ、肉筆画、本の挿絵、
雑誌や楽譜の表紙絵、生活用品のデザインなどの中に
たびたび描かれています。
2009年は夢二生誕125年を記念して、
夢二の作品は故郷を出て、日本各地を旅しました。
多方面に渡る夢二の業績は、一世紀を経た今でも、
私達に新鮮な感覚を喚起させてくれます。
“里がえり”企画第二弾は、夢二の初期作品をご紹介します。
コマ絵や挿画など小さな画面から出発した夢二が、
屏風や掛軸などの大きな画面に挑んだ初期の作品には、
初々しさと共に意欲が感じられます。
描かれる市井の人々の生活や和洋の文化が混在した内容は、
大正ロマンを代表する夢二の原点といえます。
本の装丁や挿画の仕事をする一方で取り組んだ、画家としての姿。
夢二初の個展へ出品した作品もご覧いただきます。
昭和59(1984)年に後楽園の外苑に建てられてから、
開館25周年を迎えた夢二郷土美術館・本館。
昔も今も変わらず、赤レンガ造りに銅葺きの屋根、
尖塔に風見鶏の大正ロマン漂う印象的な姿で、
皆様のお越しをお待ちしています。