古屋誠一は、1972年に東京写真短期大学(現東京工芸大学)を卒業し、翌年オーストリアに渡航、その後欧州を中心に制作活動。1985年に東ベルリンで自死した妻クリスティーネを追悼する写真集「Mémoires(メモワール)」(1989年)を発表して以来、彼女との「沈黙の会話」を綴る写真集を制作し続けてきました。「Aus den Fugen」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、2007年)や、「Trace Elements」(Nederlands Uitvaart Museum、2010年)など、人生の幾つもの現実を意識化するような独自の表現は国内外で高い評価を得ています。5月には、その最後の一冊となる写真集「Mémoires.1984-1987」(NOHARA社)を出版します。本展では、「メモワール」シリーズを中心に、未公開作品や新作もふくめ約130点を展示。生と死と向き合いながら、真摯に写真を撮り続ける古屋の全貌を展覧できる絶好の機会です。