このたび竹喬美術館では、現代日本画界にあって、独自な視点で黙々と作品を発表し続ける岩倉寿の画業50年に及ぶ歩みをたどる特別展を開催します。
岩倉は、風景や花鳥などの題材を無心で凝視し、それを中間色を主とする微妙な色調で捉えています。きわめて微細な筆触で表現された画面は、寡黙ながら澄明な岩倉の心意を創出しています。今日に至るまで、岩倉の画業は一部の評価に留まってきましたが、日本画の伝統の最も良質な要素である精神の清らかさを静かに唱えつづけるその姿勢は、改めて評価すべきものがあります。
今回の展覧会では、京都画壇の猪原大華、徳岡神泉の画業に繋がる岩倉の真摯な作品を70点あまり紹介し、今日の日本画が何を求めるべきかを再考してみたいと思います。