古くから、画家は身近な花を題材に、自然の造形や色彩の美しさを表現してきました。短い命を精一杯に咲く花々に魅せられ、その姿を個性豊かに写し取っています。
熊谷守一はバラを愛情込めて描き、金山平三は気高く香る菊花の清澄な美しさを捉えました。また梅原龍三郎は咲き誇る芍薬を艶やかに表現し、岡鹿之助は籠に盛られた花々を精緻に描き出しています。
自然界の花は、いずれ散り去る儚い運命にありますが、描かれた花々は、今なお鮮やかに咲き誇っています。鑑賞者は、花をみつめる画家のこころをも、感じとられることでしょう。本展に咲き競う花の饗宴を、是非お楽しみください。