スペインが生んだ20世紀最大の画家パブロ・ピカソ(1881-1973)。その偉大な功績はいまでも世界中の多くの美術ファンを魅了し続けています。
ピカソは幼い頃から天才と呼ばれ、類まれな絵描きの才能を発揮していました。そのピカソが初めてパリに出たのが1900年、19歳の時。ピカソとパリの出会いは、その後のピカソ芸術に多大な影響を与えることとなります。パリには世界中から集まった芸術に目覚めた若い者たちが互いに刺激し合い、そして高い芸術性を競い合っていました。このパリでピカソは、晩年や一時期以外ほとんどを過ごし、そこでの創作活動により多くの名画を生み出しました。
ピカソの作品を考える場合、誰もが版画作品の多さに驚かされるでしょう。生涯に制作した版画数は約2000点にも上り、その数は他の作家の比ではありません。版画制作活動は晩年まで続き、80歳を過ぎた1968年には半年間で347点の版画を制作し、周囲を驚かせたこともあります。このことからもわかるように、ピカソは長きに渡る作家生涯のなかで、版画制作にすさまじい情熱を傾け、ピカソ芸術に於ける版画の比重が大きいことがわかります。
本展では、北海道岩内町の財団法人荒井記念美術館の協力により、初期のエッチングやドライポイント、そしてリトグラフ、リノカットによるカラー版画作品など、厳選した作品を、「画家とモデル」「闘牛と古代神話」「男女あるいは抱擁」「女の肖像」「静物、サーカス、男の顔など」といったピカソの作品主題ごとに約80点を紹介します。