東京藝術大学絵画科油画の企画する「異界の風景」展は、油画現職教員14名の作品約70点と東京藝術大学大学美術館収蔵の作品約100点によって構成される展覧会です。
「異界」を創造行為が発生する場をさす概念と定義し、表現が生まれる媒介となる「風景」を提起する試みです。東京藝術大学大学美術館の収蔵作品に対して、油画現教員作家が油画において推し進める創作、研究、教育からの新たな視点によるアプローチを提示し、相互作用に基づく制作・展示を行います。江戸後期から明治期にかけて、独自の好奇心と大胆な解釈とともい進められた遠近法の導入や、西洋画技法の解読によって描かれた実験的な風景画を現在の視点で読み替えることを試みます。
また明治期から現代に至る絵画作品を西洋の技法、思想を消化しながらも、いかに眼前の風景-日本の風土-と対峙し、模索して「風景」を組み立てていったのかという表現の方法論を検証します。
この「異界の風景」展が未だに描かれえていない21世紀の風景に出会う契機となることを願うものです。