向井潤吉(1901-1995)は18歳で二科展に初入選、1927年26歳で渡欧します。シベリア鉄道経由でフランスへ向かい、3年を過ごしました。ルーブル美術館では20点に及ぶ模写を通じて西洋の美術と向かい合い、写実に磨きをかけました。1933年からは東京都世田谷区にアトリエを構え(現在の向井潤吉アトリエ館)、制作拠点としました。戦後の高度経済成長の中、失われゆく風景の記録をライフワークと決め、茅葺き民家をモチーフに求め日本全国を訪ねました。1995年93歳で亡くなるまで、日本の原風景を描き続けました。自然に寄り添った日々の暮らしを描き留めた作品は、郷愁と輝きにあふれ、懐かしい色彩で情趣豊かに表現されています。
世田谷美術館・向井潤吉アトリエ館所蔵の作品を中心に、油彩画、水彩・素描作品をあわせ約100点の作品をご覧いただきます。