19世紀のフランスでは、社会の大きな変革を背景として登場した市民階層が、芸術の分野でも重要な担い手となりました。それにともない、新古典主義やロマン主義、バルビゾン派、印象派など革新的な芸術の動きが次々と沸き上がり、ダイナミックな近代美術が形作られていきます。都市生活と自然の光を主題とした印象派は、まさにその象徴的なグループでした。
今回の展覧会では、ルノワールやセザンヌなど印象派の代表的な画家に加え、バルビゾン派のミレーや後期印象派のゴーギャン、そしてロートレックなどの世紀末芸術まで、約130点におよぶ版画作品を紹介します。主題や技法、表現など変化に富んだ作品群により、近代へと突き進む19世紀美術の流れが展望できるのと同時に、版画が醸し出す軽やかなエスプリもお楽しみいただけるでしょう。