西洋版画は、500年の歴史があります。熊本県立美術館では西洋版画の傑作である≪メランコリアⅠ≫の作者デューラーや、“小さな版画の巨匠”ベーハム、カロ、レンブラント、ピラネージ、ゴヤなど、古典版画の巨匠の作品を多数収蔵しています。
開館以来続けられた西洋版画コレクションは、これらの古典からアメリカン・ポップ・アートの作品、現代ヨーロッパで活躍中の版画家の作品まで、600点を超える幅広い作品群となっています。今回の企画展では、これらの中から、西洋版画史上の名作や他では見られない貴重な作品100点以上を展示いたします。
主な作家をあげると、デューラー、ベーハム、カロ、レンブラント、ピラネージ、ゴヤ、メリヨン、ルドン、ゴーギャン、ビアズリー、コルヴィッツ、クレー、ルオー、エッシャー、ミロ、ピカソ、シャガール、ビュッフェ、リキテンスタイン、ムーア、ウォーホル、サム・フランシス、ヤンセン、メクセペル、アンテスなどなど・・・。
版画技法もさまざまです。初期の精密なエングレービングからエッチング、ドライポイント、アクワチント、メゾチント、リトグラフ、シルクスクリーンなどと多彩になって行くのがわかります。もちろん木版の作品もあります。
主題も、聖書や神話などの登場人物や物語の一場面、権力者への風刺、風景、人物、そしてポスターや挿絵として作られたものなど、いろいろ楽しんでいただけると思います。また、3室には熊本が世界に誇る芸術家・浜田知明の銅版画の作品の原版を、特別展示いたします。
緑あふれる二の丸の美術館の中で、静謐で豊かな版画作品の世界を味わい、しばし熊本の夏の暑さを忘れていただきたいと願っています。