15世紀以降、ヨーロッパ人の世界周航が始まると、その探検や調査によって得られた情報に基づいて世界全体の地図が作られるようになりました。イエズス会宣教師マテオ・リッチ(利瑪竇)が17世紀初頭に中国で制作した「坤輿万国全図」はその代表です。折しも戦国の動乱を抜け出し、より広い世界との交流を始めた日本にももたらされ、地理的知識の普及に大きな役割を果たしました。また、江戸時代になって社会が安定すると、日本の姿も的確にとらえられるようになり、日本全体を描いた地図もさかんに作られました。
今回は数としては小規模な展示ですが、昨年当館に寄贈いただいた屏風形式の「坤輿万国全図」のお披露目を兼ねて、主として江戸時代に制作された世界図と、同時に発達した日本図の事例をご紹介します。世界図における日本の描き方にもご注目いただけると、より興味深くご覧になれるでしょう。