当館では日本画を中心とする所蔵品の展示は毎年テーマを設定して春季に行っており、一昨年に開催した「風景へのまなざし-日本画にみる山水の景-」では、富士山などの山の風景と水辺の景色の対比をご覧いただきました。
今年も風景画を中心とした展示となりますが、風景とともに風景からズームアップされた樹木など自然の景物を描いた作品もとりあげ、形としては表現されない寒暖や、湿潤な大気、さらに風や光などの気象が伝わる作品に注目しました。そうした気象とともに、日本の風景を描き続けた川合玉堂の作品には点景となる人物から農村や漁村に暮らす人々の生活感まで伝わり、詩情豊かで郷愁に誘われます。
このように今回の展示では、川合玉堂を中心に竹内栖鳳、木村武山、入江波光などの画家によって切り取られた自然風景から、気象や情緒といった部分までも体感したり共感したりしながらご覧いただければと思います。