この展覧会では、当館のコレクションを代表する絵画、約30点を展示するとともに、子どもたちと作品との出会いを、子どもたちの言葉や映像から紹介します。
子どもたちに美術館の絵は難しすぎるのではないか?子どもたちが絵を静かに鑑賞するのは無理なのでは?と考える人も多くいます。しかし実は作品に親しむ場が整っていれば子どもたちは、すっと絵の世界に入り想いをめぐらせはじめます。それは絵本を読むのと同じように楽しいことのようです。知識や概念が少ない子どもたちの絵への視点は、時にはっとさせる真実を含み、私たち大人に、絵を見て想像をめぐらす瑞々しい心持ちを思いださせてくれます。これまで多くの人に語られている「名画」に対しても子どもたちは、いま眼の前にしている作品を見ながら、自分の感覚の中で考えをめぐらせる、という大切なことを身軽にできてしまいます。大人が知識を得るにつれ、また現代の早い時間の流れの中で、忘れがちになっている事を彼らは気づかせてくれるのです。
美術館が人々にとって大切な「宝箱」になればとの思いから、当館ではここ数年、美術館や所蔵品に親しむための印刷物や鑑賞キット「Museum Box宝箱」を制作し、広めてきました。それらの活動も紹介しながら、子どもたちにとって美術館が魅力的な「宝箱」になってゆく試みの一端を所蔵品とともに紹介いたします。