水墨画といえば、余白の美を活かした、伝統的な日本画の主要な分野として、よく知られています。これは紙そのままの白地を活用しつつ、墨の濃淡やにじみ、かすれなどによって独特の美しさを生み出しています。若干の色彩が加わることもありますが、墨を主体に描くことで、内に秘めた色彩や精神を感じさせ、それが禅などを含む東洋的な思想と相まって、神秘的な世界を感じさせることもあります。
この展覧会では、近代から現代までの、水墨画をはじめとするモノクロームで表現された世界を紹介します。伝統的なモチーフや花鳥をとりいれた日本画、水墨画はもちろんのこと、現代作家による新しい視点で描く水墨画も登場します。さらに、本展では現代洋画にもアプローチ。洋画の中にも、白や黒へのこだわりを持った作品が存在します。これらの作品は、たとえ水墨画を意識したものではないにせよ、結果として、私たちに水墨的な精神世界や思想を感じさせるような表現となっているのではないでしょうか。
白と黒に魅せられた作家たちの作品をどうぞ御覧ください。