1955年オランダで設立された世界報道写真財団が毎年開催している「世界報道写真コンテスト」の入賞作品を集めて展示する世界報道写真展2009が、今年も東京都写真美術館で開催されます。このコンテストには前年1年間に撮影された写真を対象に、プロの写真家であれば誰でも参加できるので、今年は世界124カ国から5,508人が応募し、作品数は96,268点に上りました。これは52回の歴史の中で最高の数字です。特に中国、インドからの応募が急増、経済発展に比例して、社会を見つめる写真家の活躍場所が増えていることを示しています。本年は日本人写真家の2人が入賞を果たしました。ケニア在住の千葉康由さんとアメリカ在住の山口元さんです。それぞれが追い求めるテーマでの受賞でした。
昨年アメリカに端を発した金融危機は先進国にも深刻な社会不安を呼び起こし、世界中でこれまで経験したことのないような社会状況がうまれています。戦争、紛争は収まることがありません。アフリカの多くの国では今も続く内戦が民衆の生活を圧迫し、飢餓や虐殺を招いています。多くの犠牲者は一般の市民であり子どもたちです。地球上のいろいろな場所に現れる問題に写真家たちは最前線に立ち、その背景も見据え、真相を表現しようと試みます。1枚の写真に込められたフォトジャーナリストの思いが、同じ時代を生きている私たちに迫ってきます。