俗に「お水取り」(「お松明」とも)といわれている、東大寺二月堂の「修二会(しゅにえ)」。これは11人の練行衆(れんぎょうしゅう・・・法会のために二月堂にこもるお坊さんたち)が二月堂ご本尊の十一面観音に、世の人々に代わって、個人のみならず国家や社会が犯した全ての罪やあやまちをざんげし、罪の障りの消滅とともに仏の加護を願う法会のことで、陰暦の2月1日から2週間にわたって続けられます。
「お水取り」の名称は、陰暦2月12日の真夜中、すなわち13日の早朝、三時頃に行われる行事に由来しています。二月堂下の閼伽井屋(あかいや 若狭井戸)からご本尊にお供えする瑞(香水・・・こうずい)を汲み上げるための行法のことで、伝説ではこの日にしかその水が湧いてこないことになっているそうです。
また、この修二会のシンボルともいえる二月堂の欄干(らんかん)で振られる大きな松明(たいまつ)。舞い散る火の粉に参観者が歓声をあげる模様は、関西の春を告げる風物詩となっています。
土門拳は昭和42年の2月から3月にかけてこのお水取りを撮影しました。
食堂作法、六時行法、五体投地、松明上堂…天平の昔から1200年以上も続けられてきた荘厳な秘法が、迫力のある画面から伝わってきます。
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