「陶器にオリジナリティーを」
これは中山保夫が創業以来、方針としてきた言葉です。目指したのはヨーロッパの陶磁器ブランドの洋食器が持つ高級感。その上でオリジナルのデザインを追求し、バラエティーに富んだ幾種類もの食器を作り出してきました。特に脚部とカップをひとつの型で成形するワイングラスをはじめ、気品あふれる洋食器には定評があります。本展は、当館で収蔵することとなった初期の和食器から洋食器のディナーセットまで、その多彩な表現をご紹介するものです。
中山保夫は1922(大正11)年、岐阜県多治見市に生まれます。多治見工業学校(現在の岐阜県立多治見工業高校)を卒業後、岩城硝子に就職。終戦後は兵役から戻ると多治見で陶土原料の会社に就職します。そこで原料の性質を一から学び、30歳の若さで工場長に就任。新しい素材の研究開発に邁進しますが、1959(昭和34)年に独立、独自の工夫を重ねながら陶磁器製造を開始します。
以来約50年、自ら工夫を凝らし手間を惜しまず作られた作品は、数々の受賞に加え、宮内庁の注文により公式晩餐会用の食器を納品するなど、高い評価を得てきました。今回はその緻密な作業工程を物語るデザイン画や手描き見本、転写紙、さらにヨーロッパの陶磁器も併せて展示し、(株)ナカヤマの食器が醸し出す品格の秘密を探ります。