野町和嘉は20代半ばでサハラ砂漠を訪れ、大地のスケールと、過酷な風土を生きる人々の強靱さに魅せられたことがきっかけとなって、今日までドキュメンタリー写真を撮り続けてきました。35年余に及んだ取材地域は、ナイル川全流域からエチオピア、チベット、南米アンデスまでをカバーし、地球規模のスケールで「大地と祈り」を撮り続けてきました。
そして1995年から2000年にかけて、サウジアラビアからの要請により、イスラーム教最大の聖地であるメッカとその巡礼を、世界で初めて徹底取材してきました。これまでの取材の成果は、写真集「サハラ」、「ナイル」、「チベット」、「メッカ巡礼」として世界各国で出版され、とくに欧米では版を重ねてきました。2005年には、野町が30年以上にわたって撮り続けてきた“祈り”を集大成した「A PHOTOGRAPHER'S PILGRIMAGE」(日本版「地球巡礼」新潮社)が、9カ国語版にて世界同時刊行されました。
本展は最新作である。祈りの川「ガンガー(ガンジス)」を中心に、代表作である「アフリカ」、「イスラーム」、「エチオピア黙示録」、「アンデス」を加えた約150点により構成するものです。