ナポレオンの生誕の地として有名なコルシカ島にあるフェッシュ美術館は、ナポレオン1世の母方の叔父であるジェゼフ・フェッシュ枢機卿(1763-1839)個人のコレクションを基礎として設立されました。美術愛好家として著名であった彼の収集品は16,000点を数え、質・量ともに世界最大級を誇っていました。その数その多くが散逸しましたが、残されたイタリア絵画コレクションだけでも、フランス国内においてルーヴル美術館に次ぐ規模となります。
本展では、フェッシュ美術館の収集品の中でも、最も内容の充実した17世紀・18世紀のイタリアの宗教画や世俗画に加えて、ナポレオン一族を表した華やかな肖像作品等に焦点を当て、バロックからロココにいる華麗なる美術史の一端を、約80点の日本初公開作品で紹介します。
とくに日本初公開のボッティチェッリの《聖母子と天使》は、フェッシュ美術館が世界に誇る至宝です。イタリア・ルネッサンスの巨匠が二十代の中頃に描いたとされる本作品に派、《春》《ヴィーナスの誕生》など美しい女性像を世に送り出した才能が現れはじめています。
イタリア美術とナポレオン、美術と歴史が織り成すフェッシュ美術館の至宝をお楽しみください。