日本オリエント学会は設立10周年記念事業として、イスラエルにあるテル・ゼロール遺跡の発掘調査を1964年から1966年まで継続して行いました。おりしも政治・経済が激動する時代でした。ややもするとこうした面が強調されがちな60年代ではありますが、情熱を海外の発掘調査に捧げた日本人もいたのです。
出土した遺物はイスラエル考古局と協議の上、両国で折半されました。その際に日本側に引き渡された遺物は永らく天理参考館に寄託されていましたが、2003年に日本オリエント学会から寄贈されました。今回の展覧会では、出土遺物から約100点を選び紹介し、その成果を振り返ります。めまぐるしく変化する昨今、忘れかけた大切な何かを思い起こしてくれるかもしれません。もう一つの60年代を感じ取っていただければ幸甚に存じます。