今年横浜は開港150周年を迎えました。開港後、横浜の港は諸外国との貿易でにぎわい、輸出品の主役となったのは生糸でした。
この生糸貿易で活躍した実業家 原三溪は、自邸に京都や鎌倉などから多くの歴史的建造物を蒐集、自らの構想により庭園に配置し、明治39年(1906)「三溪園」として一般に公開しました。また、所蔵した美術品の数々も秘蔵することなく、支援していた若手作家らに供覧、彼らの創作活動に重要なヒントを与えました。これは庭園も所蔵品も万人が共有すべきものという考えが根底にあったからです。このように生糸貿易がもたらした富は、まさに文化を守り育む源となったといえます。
かつて数千点におよんだ三溪の美術コレクションは、遠く海外のコレクターも注目するほど質が高く、美術史を踏まえ、充実した内容を誇るものでした。
本展では、国宝・重要文化財を含む旧蔵品の逸品約40件を取り上げ、三溪の蒐集の軌跡、芸術観をご紹介します。