花を取り巻く華やいだイメージは、時代や地域を問わず、人々を魅了してきました。日本では、季節ごとに移ろう花々に心を寄せ、情緒とともにその姿を表現することが好まれますが、中国では古来、花は吉祥モティーフとして、季節に関係なく美術や工芸にあらわされていました。美術の中では、花そのものを主題にした作品のほかに、物語や詩歌の世界、あるいは名所の背景として描かれたり、仏教などの信仰上の意味を示す図像としても描かれています。また、図案化された花模様は、陶磁器や漆器、染織品などの装飾にも幅広く用いられてきました。本展では大倉集古館の所蔵品の中から、日本・東洋美術にみられる花モティーフの諸相をご覧頂きます。