さまざまな気候や風土の中で育まれた個性的な図柄や形。世界の「風呂敷文化」を大公開!
近年、大量消費文化の中での過剰包装を反省する動きが、大きなうねりをなしています。そうした中で、風呂敷が持つ繰り返し仕えるというエコロジー的な要素や、包み方の工夫による多機能性、そして包まれたかたち自体の美しさが見直されつつあります。実は、美しい布で美しくものを包むということは、日常生活の中での立派な創造行為であるといえるのです。本展では、そうした風呂敷の魅力を約450点の作品を通して、様々な角度からご紹介いたします。
「風呂敷」は、日本独自のものと思われがちですが、世界各地にもみられます。本展覧会では、まず、日本を初め、中南米、アジア、アフリカ、ヨーロッパ各地の装飾された布とそれぞれの日常生活の中での使用方法、さらに婚礼道具や経典、死者を埋葬する布など、祝いや祈りという特別な場での「風呂敷(布)」文化を紹介します。さらに、東京オリンピックや万博の開催記念、阪神・巨人などプロ野球球団の優勝記念などの記念風呂敷の展示のほか、テキスタイルからファッション、家具のデザインまで知られるヨーガン・レール(1944~)による未来の風呂敷の提案も行われます。また、会場には、実際に風呂敷に親しんでいただける包み方体験コーナーも併設、その他ワークショップも開催します。
先人達から連綿と受け継がれてきた、布で包んでものを大切に扱うという習慣や、包まれたものを人に贈るという行為を振り返ることにより、高度成長期以降の使い捨て文化と、現代の希薄な人と人のコミュニケーションのあり方を問い直すことになるのではないでしょうか。本展が、皆様お一人おひとりの生活を、物を大切にし、心と心が通い合った真の意味での「豊かな生活」へと導く契機となれば幸いです。