江戸の人々は、春夏秋冬という季節の変化に敏感であり、1年間の生活の節目となる年中行事をとても大切にしていました。そのため季節の風物や、その季節を代表するような名所を描いた絵がたくさん生まれました。そしてそれらの絵の多くは、1月から12月までの12点揃、春夏秋冬の4点揃、あるいは長い絵巻に月毎の場面を順番に描くなど、点数の多い揃物や大きな画面によって制作されました。
これまで当館では、これらの作品を展示する場合、季節に合う作品や場面を選んで公開して参りましたが、今回、都市のはじめのこの時期に、春夏秋冬の作品・場面を一挙に展示する機会をもうけました。
江戸東京の、1年間の暮らしぶりや風景を伝える当館所蔵の絵画作品を通じて、四季折々の行事や名所が時代と共に変わっていく様子、その一方で近代に至っても変わらず大事にされてきた十二ヶ月の季節感など、四季に恵まれた江戸東京の文化や暮らしというものを改めて実感していただきたいと思います。