写真家の荒木経惟は、常に斬新な切り口で花、ヌード、風景、猫など多様な対象を撮影し、時代の最先端を走り続けてきました。近年では、日本各地の人々の顔を撮影する「日本人ノ顔プロジェクト」を展開するなど、地域に根ざす独自の文化と、その土地その土地に暮らす人々の魅力を引き出す制作にも取り組んでいます。
本展では、2007年以降に生まれた赤ちゃんと母親を熊本で撮影した《母子像》シリーズ約40点を展示します。母子の絆と生命力が溢れた写真は、生きる歓びに満ちており、作家にとっての新たな展開を示すものであります。この輝ける母子への讃歌として撮り下ろした、《色淫花》シリーズも展示します。加えて、《母子像》シリーズの撮影風景と荒木が2006年に審査員を務めた「熊本市民美術展 アートパレード」での熊本滞在の様子を記録したドキュメンタリー映像、過去の代表作から最新作、スライドを使った映像作品《アラキネマ》など、荒木のこれまでの軌跡を一挙にご紹介します。