棟方志功(むなかたしこう/1903ー1975)は明治36年、青森の鍛冶屋の家に生まれました。少年の頃から絵を描くのが好きだった志功は、「ようし、日本のゴッホになる」と21歳 で上京し、本格的に油絵を描きましたが、なかなか認められませんでした。
そんななか、たまたま目にした川上澄生(かわかみすみお)の版画に心を動かされ、木版画に夢中になった志功は、版画家の道を歩み始めました。
板の生命(いのち)を彫りおこす
志功の木版画。それは、荒々しく、土俗的で、原始的なエネルギーに満ち、それでいて庶民的なあたたかさをにじませる表現世界です。
独創的な志功の「版画」は、戦後、サンパウロとヴェネッツィアの各ビエンナーレでグランプリを受賞するなど、日本ばかりでなく世界的にも高い評価を受けました。
この展覧会では、棟方志功記念館(青森市)のコレクションから、「釈迦十大弟子(しゃかじゅうだいでし)」、「東北経鬼門譜(とうほくきょうきもんふ)」など、代表作約40点をよりすぐってご紹介します。