古来より日本人は、身に付ける物や身のまわりの品々はもとより、神仏への信仰の場、祭礼の場にいたるまで、生活のあらゆる場面を旺盛なエネルギーをもって華麗に「かざり」たててきました。
本来、「日常」を「非日常」である祝祭の場へと変貌させる演出であった「かざり」は生活の憂いから人の心を解き放ち、階層、身分を越えて、生きる喜びを体現する方法として存在してきました。そして、時には実用性を度外視するほどの「かざる」情熱は、日本の文化を形成する大きな原動力となりました。
本展では、縄文土器から現代にいたるまで日本文化の源流ともいえる「かざり」のさまざまな特質を、絵画、工芸、芸能などの分野を超えた構成により紹介します。
さらに祭礼などにおいて今日にも続く「風流のかざり」にも注目します。時代を超え、常に人々の生活の中で、用と美、聖と俗が渾然一体となり展開されてきた「かざり」の世界をご覧ください。