本展覧会は、新収蔵となる朝倉文夫による猫の彫刻5点を中心に、林武、木内克を初めとする朝倉と同時代を生きた作家たちや、同じく新収蔵となる、スウェーデンを拠点として国際的に活躍する中島由夫の作品などを展示します。
明治十六年(1883年)、大分県に生まれた朝倉文夫は東京美術学校彫刻科を首席で卒業し、翌年の文展で最高賞を受賞。その技術と観察眼に裏打ちされた写実主義的作風で、彫刻家として不動の地位を確立しました。また後進の指導にも精力的に取り組み、その後の日本彫刻界の発展に多大な貢献をしました。肖像彫刻で評価の高い朝倉が、人物像と同様に心血を注いだのが動物像です。なかでも猫をこよなく愛し、多数の作品を残しています。
一方、中島由夫やイタリア在住の長谷京治の作品などからは、写実にとらわれない自由な息吹が伝わってきます。近代日本の写実描写に徹した表現と現代の表現を、比較してご覧下さい。