藤田喬平(1921-2004)は、大正10年に東京に生まれ、東京美術学校彫金部を卒業後、ガラス作家の岩田藤七に師事し、ガラス制作の世界に入りました。後に工場から独立し、構想から完成までの工程すべてに作者自身が関わるスタジオグラス運動をわが国でいち早く実践した作家です。
藤田の作品は、ガラスの特性を生かして造形美を表現した流動シリーズをはじめ、江戸時代の琳派の影響を受けた飾筥(かざりばこ)シリーズや、永年にわたりイタリア・ムラーノ島で制作した伝統のベネチアグラスの技法を取り入れた作品や大型のオブジェなどが知られています。
昭和30年から本県市川市に住み、平成元年に日本芸術院会員となり、平成14年には文化勲章を受章しました。
今回の展示は、初期から晩年までの幅広いジャンルのガラス作品を紹介し、戦後日本のガラス工芸界でひときわ光彩を放つ藤田喬平の活動を振り返ります。