形の最小の要素である「点」や四角い「面」という基本的な形を重要な主題として、作品を制作してきた3人の作家に注目し、その活動を紹介します。
上前智祐は1920(大正9)年、京都府に生まれ、具体美術協会の結成に加わりました。縫いという作業により画面に生まれる点を基本的な構成要素とする作品や、淡々と点を繰り返す、緻密な反復作業に立脚した画面を生み出しています。
山中嘉一は1928(昭和3)年、大阪市に生まれ、デモクラート美術家協会に参加。1968年からシルクスクリーンを中心に制作活動を展開し、点、線、面という切り詰めた造形要素と厳選された色彩による画面構成を行っています。
坪田政彦は1947(昭和22)年、姫路市に生まれ、大阪芸術大学に学びました。四角い画面を四角く区切った上に点を配置する画面は、単純であるにも関わらず、独特の詩情をたたえています。
個性を持たないように思える「点」や「面」が、3人の作品においていかに個性的でそれぞれ異なった表現を生み出しているかを楽しむことができる展覧会であり、また当館が継続して取り組んでいる、関西の戦後美術を紹介するものです。