総合商社・丸紅のルーツは、江戸時代末期に創業した呉服商にあります。その長い歴史のなかで、伝統に育まれた特色ある美術コレクションができあがりました。呉服の商品開発のために集められた衣裳は、近世の染織技術や流行をたどることのできる貴重な資料です。また、昭和初期にきもののデザインをそうそうたる美術家たちに依頼したことから、彼らとの接点が生まれ、洋画を中心に多くの佳品も集まりました。西洋絵画は、ゲインズバラ、コロー、クールベ、印象派、エコール・ド・パリからビュッフェまで、1970年代に成熟した日本市場を対象に、丸紅が総合商社として初めて本格的に美術品の輸入販売に参入したときの収集品です。なかでも《美しきシモネッタ》は、日本にある唯一のボッティチェリの作品です。
このようにくらしを彩る品々を提供する企業活動を通じて形成された丸紅コレクションは、日本の人々が各時代に胸をときめかせた美しい衣裳や名画をちりばめたアルバムのようなもの。ふだんはなかなか見ることのできない時代衣裳、意匠図案、日本洋画、西洋絵画などの作品群から選りすぐった約80点を展覧します。この機会にぜひご鑑賞ください。
※ 衣裳7点は、作品保全のため12月8日(月)に展示替えをします。