大都市江戸の名所が描かれた「名所江戸百景」は、浮世絵師歌川広重の晩年の名作といわれ、またその大胆ともいえる構図はヨーロッパにジャポニズムとして影響をあたえました。
さて広重は、寛政9年(1797)に八代州河岸(現八重洲)で定火消同心の子としてうまれましたが、のちに画業を志して歌川豊広に入門します。30代半ばで「東都名所」や「東海道五十三次」のシリーズによって名所絵、風景画家として北斎と並び評されるようになりました。そして安政5年(1858)、62歳で没しましたが、平成20年はちょうど没後150年にあたりました。
そこで本展では、この広重の名作「名所江戸百景」全点を一堂に展示、紹介したいと思います。またあわせて大都市江戸の広がりや、江戸時代に出版された『江戸名所図会』や『絵本江戸土産』、『東都勝景一覧』などの本から、江戸の人々にとっての名所(などころ)について考えるとともに、彼らが愛した浮世絵から当時の江戸市中を探ってみたいと思います。