『日本の新進作家展』とは、写真や映像で新しい可能性に挑戦するその創造性ある精神を支援し、将来性のある作家たちを取り上げていこうという当館の理念によって生まれた展覧会です。2002年よりシリーズ化され、今年で第7回目を迎えました。
今回開催する『オン・ユア・ボディ』は、〈身体〉がテーマです。〈身体とジェンダー〉という問題については、ここ数年で急速な変化を遂げています。特に、女性の意識変化は大きいでしょう。特徴的なこととしては、女性の社会進出と晩婚化、少子化というところに表れています。女性たちの意識がグローバル化し、欧米並みに精神の自立が成されているのにも関わらず、社会のシステムがそれに追いついていない現状から起こっているのです。
さらにインターネットが普及し、社会にヴァーチャル化されたネットワークが誕生したということ。瞬時に同じ情報がいきわたる現代社会のなかで、私たちの意識としてもヴァーチャルリアリティーが現実と同じくらいに重要になってきています。
そのようななか、〈身体〉というのは最後に残された自分自身がコントロールのきく場であり、現実との戦いの場。その実感として、女性の意識の変化のなかで身体への関心が高くなってきていると思うのです。例えば、女性がメイクをしたり、スポーツクラブに通ったり、ダイエットに励むといった見える部分だけでなく、もっと内面的な問題を表現するための身体への執着心に焦点をあてたいと思ったのです。
今回は、そんな社会の問題や、日本の女性たちが抱いているさまざまな感覚を色濃く投影している6人の作家をご紹介します。