室町時代に観阿弥・世阿弥父子により大成された能は、江戸時代に入ると幕府の式楽(儀式用の芸能)に定められ、大名にとって必須の教養となりました。旧肥後藩主細川家においても初代藤孝(幽斎 1534~1610)が太鼓の名手であったのを始め、近代に至るまでの歴代は能への造詣が大変深く、演能記録や自筆の謡本などの資料が伝えられています。
今日残る面や装束などのコレクションも、こうした長い歴史のなかで蒐集され、実際に使用されてきました。それらは大大名細川家にふさわしい優品ぞろいであることはよく知られています。
この展覧会では、細川家に伝来した能面122面から52面を選び、装束、楽器、小道具とともに展示します。様々な表情をもつ面の魅力と、優雅で格調高い能の世界を堪能してください。展示総点数94点。