足立美術館創設者・足立全康は、明治32年(1899)島根県安来市古川町(現足立美術館所在地)に生まれ、15歳で木炭商を手がけたのをはじめ、おもに大阪を拠点として不動産や繊維関係など様々な事業を興しました。かたわら横山大観をはじめとする近代日本画を蒐集して、昭和45年(1970)財団法人足立美術館を設立。平成2年(1990)に92歳で亡くなるまで、コレクションの充実はもとより庭づくりにも情熱を傾け、また実業家ならではの発想と行動力で美術館の運営に携わりました。
当年は創設者・足立の生誕110年にあたります。これを記念して全康がとくに思い入れをもってあつめた大観の名作や、当館にとって重要な節目となった作品を展示するとともに、コレクションをはじめた経緯や蒐集時のエピソードなどとあわせてご紹介いたします。
足立全康の眼―日本画の数々―にふれ、その優れた審美眼や名画によせる熱き思いを感じ取っていただければ幸いです。全康が心血を注いでつくりあげた日本庭園とともにお楽しみください。