暮らしのうつわからオブジェまで、現在のやきものの世界は実に大きなひろがりをみせています。やきものの素材、手法を表現の手段の一つとして、用を離れた作品が生まれたこともその過程における重要な動きでした。しかしながら一方で、「器」「花器」「壺」など、やきものならではの「用」ある形に自らの表現をかさねてきた作品が、現代までなお作りつづけられていることも事実です。それらは本来やきものがもつ「用」をともなう形を意識しながらも、そこに表現の世界を追求しています。
本展では、この「用」ある形のなかに生まれた表現に注目し、その展開を明治時代以降の作品により追いながら、近代陶芸の動きのなかで生まれたものが現代に伝えたものを探ります。