日本には、やきものや漆器など、大事な器を好みの布で作った仕覆に入れて箱に納め、さらにその箱を布で包んで保存する習慣があります。中身の器もさることながら、それを包む布、裂も古渡りの貴重なものが多いのです。
客人を招き、茶と料理でもてなす。季節や目的に応じた空間の演出を練りながら、見合う器を選ぶ。まさに茶をたしなむ人々こそが、このような楽しみをよく知っていたのではないでしょうか。だからこそ、ひとつひとつの器を思い入れのある裂に包み、大切に守ってきたのです。
この特集陳列では、およそ安土桃山から江戸時代にかけて日本に将来され、このように人々の眼を楽しませてきた彦根更紗と中国景徳鎮民窯の磁器をご紹介いたします。