画家ベルナール・カトランが2004年4月にこの世を去って以来、其の作品は今なお多くの人々の心を惹き付けて止みません。生前カトランは婦人を伴い、日本、メキシコ、ペルー、アメリカ、ヴェニスなど世界各国を旅しました。行く先々で観るもの全てに興味を示し、貪欲なまでの吸収力によって、様々な風景、人物、静物を描きました。熱く塗られた画面は重さをまったく感じさせず、むしろ洗練された空間を生み出してるのは、画家の強い精神力と繊細な感性によるものといえるでしょう。また、力強さと柔らかさが混在する単純なフォルムは、カトランがいかにたくみにマチエールを操り、色彩を効果的に用いたかを示しています。画家の追及した簡素な構図と華麗な色彩による作品は、時代を超え常に斬新な感覚を見るものに与えてくれます。2005年に吉井画廊で開催された追悼展に続き、本展では遺族やコレクターの方々の協力によって、初期の作品から晩年に至るまで約40点の油彩及びタピスリーなどを紹介します。是非この機会に、私たちの心の中に永遠に生き続けるカトラン芸術の真髄を感じて頂ければ幸いです。