アーツ・アンド・クラフツ運動は、20世紀の工芸・デザインの展開に大きな影響を与えた工芸の革新運動です。
指導者であるウィリアム・モリス(1834~1896)は装飾美術の商業化に反対し、職人的な手仕事の復興を目指しました。モリスらの工房からは、高い技術で制作されたテキスタイルや美しい壁紙、家具、インテリア、書籍が世に送り出されていきます。イングランドで発祥したアーツ・アンド・クラフツ運動は、スコットランドにチャールズ・レニー・マッキントッシュ(1868~1928)らのグラスゴー派を生む一方、アメリカでは建築家フランク・ロイド・ライト(1867~1959)らの家具デザインや、女性陶芸家の作品などに影響を与えました。
本展では、モリスの初期作品をはじめ、アーツ・アンド・クラフツ展覧会協会とグラスゴー派の仕事、ケルムスコット・プレスなどの書籍デザイン、そして20世紀初めのアメリカの家具・工芸品を展示することによって、英米圏におけるアーツ・アンド・クラフツ運動の展開をひとつの流れとして紹介します。