岡村桂三郎(1958-)は、現代日本画界を引っ張る若手世代の旗手として、その活動が近年つとに注目されております。日本画ではありますが、岡村桂三郎の作品は、板のパネルを一度焼いて、その上に、岩彩で描き、板の表面を削ったりして、イメージを作り上げていくという、従来の表現では思いもつかない、斬新なものになっております。描かれた主題は、鳥や象から始まって、空想上の動物の龍やインドの伝説上の動物である迦楼羅といった動物にまで及んでいます。ただ、鳥や象にしても、現実のものを写実的に表現しているわけではありません。屏風仕立ての大きな板のパネルには、うねるように、また、うごめくように表現されたこれら動物たちが、そのイメージの孕む生命感により見る者を圧倒します。岡村桂三郎は、従来の日本画という枠を取り払うことを心がけ、ひたすら、北斎や若冲といった先達に肩を並べようと、見る者を驚嘆させるイメージを追求しているのです。岡村桂三郎は、自然と人間の結びつきの必要性を改めて考え直し、土俗的な雰囲気にあふれた作品を作り上げることに精力を注いでいます。現代の絵師、岡村桂三郎の近作から最新作まで大作20点による展観により、新しい絵画の世界をご堪能下さい。