王子は2001年から一貫してスナップショットという形式を使い、これまで継続的に発表してきた。本展は2007年に始まり継続中のシリーズで、人間が中心に構成される。初期は川崎やソウルなど場所や日付がある程度明確だったが、近作ではそれらを明示することもなくなり、何を撮り、撮ろうとしたのか分からないような写真へと展開してきた。作者は、写真は基本的に便利に利用したり、ましてや理解したり読むようなものではなく、意味のないものだと考えているからだ。そのため提示される写真は、写真家という撮る権利の具体的な結果であるにもかかわらず、あまりにも凡庸で出来が悪く、そうしたものが欠けているようにさえ見えるだろう。 街路をただ歩き、撮る。スナップショットという形式とこの愚直な反復によって見るという行為を問い直そうとしているのだ。また同時に、個人の興味によって膨らみ続けるイメージのアーカイブとその取捨選択への違和感と、人間を見る/撮るという欲求が制限、自主規制されつつある状況への抵抗でもある。 展示内容:スライドプロジェクション
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